2018-01-01から1年間の記事一覧

SndY Morning

11月のある日、オレはガールフレンドが出ていったがらんとした部屋でセミダブルのベッドに横たわりレコードを聴いていた。 布団からは仄かに甘い香りがする。 彼女の匂いだ。 The velvet undergroundの『Sunday morning』が気怠い空気の中で漂っている。 曲…

rainny go-round

2月最終週の東京の街。 傘を射して、スターバックスの珈琲を啜る私。 昨夜は久しぶりに呑み過ぎた。 宿酔いと云うほどではないにしても身体が重い。 左手に巻いた時計を覗く。 もうすぐ3時を回ろうとしている。 竹橋から九段下までの高速の高架下。 冬のせ…

F※※k'n summer

宝塚記念が終わり、夏競馬が始まった。 東京の街はまだ梅雨も明けきっていないが、兎角夏が始まったのだ。 競馬好きにとってレーシングカレンダーは季節と連動している。 桜花賞が来ると「春が来たなあ」と浮き足立つし、ダービーが終わると「一年ももう半分…

巴里阿房旅行記5

私は片付いた部屋でビールを呑んでいる。 今日で旅も終わり。 リビング、キッチン、バスタブ、トイレの掃除を終えて、あとは大家の点検を待つばかり。 空になったビール瓶を指ではじく。 水滴が飛び散って、瓶が揺れる。 私はふぅと息を吐いて立ち上がり、冷…

巴里阿房旅行記4

せっかくパリに来たので今日は買い物へ行こうと思う。 パリと云えば「買い物」である。 OL的な思考で申し訳ない。 この街には数多くのショップがあり、もちろんヨーロッパブランドは日本よりも20-30%程度安い。 しかも私が今回訪れた7月はソルドの時期。 …

巴里阿房旅行記3

パリに来て今日で4日目だ。 毎日が光と陰の矢の如く過ぎ去っていく。 間違いなく東京と流れている時間の速度が違う。 街の速度は東京よりも緩い。 しかし旅人の私には毎日が新鮮なのでいつもよりギア2つ分くらい加速して日々が過ぎていく。 もし東京と同じ速…

巴里阿房旅行記2

せっかくパリに来たので今日は美術館へ行こうと思う。 パリと云えば『美術館』である。 ルーブル、オルセー、オランジェリーなど有名処はもちろん、ピカソやダリ、ロダンなど1人の作家を蒐集した処もある。 どれも日本では考えられないほど充実したコレクシ…

巴里阿房旅行記1

「もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。 パリは移動祝祭日だからだ。」 ―アーネスト・ヘミングウェイ― パリへ行こうと思う。 毎回私は旅行に行く時、特に理由がなく、なんとなく「…